書店で目に留まり、単純にタイトルに惹かれて購入を。
『 腸内細菌が家出する日 健康も人生も思いどおりにいかないのはナゼ? 』。そう、腸内細菌。
ああ、また、最近の食生活では腸内環境は乱れる一方だ!腸内環境を整える必要がある!と。そういう本だと思っていました。事実、そういう一面もありますが、それ以上にそもそも「寄生虫」とか「細菌」とは何か?ということを。
特に「寄生虫」の項目は目が白黒。腸内細菌はともかく、寄生虫の存在はまったく気にしたことがなかったわ・・・!と。読んでいるといろいろと想像をしてしまい、背筋がぞーっと・・・ま、言ってみれば映画『 エイリアン 』シリーズみたいな?人間を宿主にして・・・以降、自粛。あの世界がダメな人ははじめを飛ばす方がよろしいか、と・・・
寄生虫と宿主の関係性と申しますか、いやーまー想像をすると恐ろしいですね・・・寄生虫が宿主の脳と動きをコントロールする、と。たとえ、それが破滅に向かう、と分かっていても。一方、寄生虫と宿主の関係性が共依存的な、互いに助け合う関係性である場合もあります。そう、腸内細菌も。
人間は人間として一人で生きているわけではない。多種多様な腸内細菌が人間を健康にもし、病気にもする、と。
この腸内細菌が「家出」した時、人類の体に何が起こるのか。そして、ハチミツ、サンゴから「家出」したものと崩れる自然関係から人類の体の行く末は。
この世のあらゆるものは「共生」で成り立っているのだ、と考えさせられました。
『腸内細菌が家出する日 健康も人生も思いどおりにいかないのはナゼ?』。
まずは目次を紹介します。
はじめに 今、地球と人間に何が起こっている?
第1章 私を操っているのは誰?
第2章 宿主をコントロールする寄生生物
第3章 腸内細菌は「もう一人の私」だった
第4章 あらゆる病気も腸内細菌しだい
第5章 腸内細菌が家出する日
第1章と第2章は寄生虫に関する内容。寄生虫博士と言われる著者(東京医科歯科大学名誉教授)の研究歴と寄生虫に関するトリビア的な知識が描かれています。
個人的にはまったく知らない内容 & 洒脱でおかしみのある文章ゆえに面白いといえば面白い。しかし、同時に背筋がぞぞーっと凍りつく内容w 興味のある方は読んでみてくださいまし。
ここでは第3章以降の腸内細菌に関する内容をサラリと紹介します。以下の内容は『 腸内細菌が家出する日 健康も人生も思いどおりにいかないのはナゼ? 』よるものになりますことをお断りしておきます。
腸内細菌は「もう一人の私」。
わたし、知らなかったのですが、脳を持たない生物っているんですね!でも、腸を持たない生物はいないんですって。そもそも、進化の過程で腸が先にできて、その後、脳ができたそうです~
つまり、生きるためには脳は必ずしも必要な器官ではなく、腸こそが必須なのだ、と。そして、腸には約3万種、1000兆個=約2キロ!もの腸内細菌が存在を。これは地球上でいちばん多くの細菌が密集している場所でもあります。
そして、わたし達の身体に存在する、これらの多種多様な腸内細菌は腸粘膜細胞と協働してあなたの体を左右し、「生きるため」の作業をしてくれています。
・食べ物の消化、吸収、便の形成 ・免疫機能の維持 ・有害物質の排除 ・ビタミンの合成 ・必須アミノ酸の合成 ・ホルモンの合成 ・脳内伝達物質の合成 ・酵素の合成 ・腸のぜん動運動促進
しかし、糞便の調査により、日本人の腸内細菌の数は、戦前の半分以下に減少していることが分かっています。また、腸内フローラのバランスも崩れ、日本人の腸年齢は老化する一方。
戦前は一人一日あたり400gあった糞便が、戦後は徐々に減り、今では一人一日あたり200g。若年層になると更に少なくなり150g程度が多く、便秘で悩んでいる女性では80gしかなかったという調査も。
原因は様々あろうかと思いますが、一つ考えられているのは腸内細菌の餌である植物繊維の摂取量の変化。年々、減り続け、現在は戦前の三分の一まで落ち込んでいるそうです。
つまり、腸内細菌の餌である植物繊維を採らなくなることで、腸内細菌の数がそれに応じて減る、と。結果、免疫機能が維持できなくなり、戦前には見られなかった喘息やアレルギー性疾患の患者が増加する、と。
あなたの体が育てているのは「やせ菌」?それとも「おデブ菌」?
結論から書きますと・・・
- 痩せた人 → バクテロイデス門の腸内細菌が多い =やせ菌
- 肥満の人 → フィルミクテス門の腸内細菌が多い =おデブ菌
肥満の人に多いフィルミクテス門の腸内細菌には以下の特徴があるとされています。
フィルミクテス門の中には、植物を消化器官内で分解した後、通常ではそのまま排出されてしまうはずの成分を吸収し、それを栄養として取り込んでしまう細菌があるのです。つまり、フィルミクテス門の菌は食事から吸収するエネルギー量が多いということです。(一部省略)腸内フローラに(痩せた人に多い)バクテロイデス門が少なくなると、短鎖脂肪酸の量も少なくなり、脂肪が取り込まれやすくなってしまいます。
ここで重要なポイントとして、「短鎖脂肪酸」の存在があります。短鎖脂肪酸には酪酸、酢酸、プロピオン酸などいくつかの種類があり、これらは以下の働きを行います。
- 全身の代謝を活発にして肥満を防ぐ
- 糖尿病を直接的に改善するホルモンを増やす
- アレルギーなどへの抗炎症作用
- 幸福ホルモンと言われるセロトニンの分泌を促す
- 腸のバリア機能を高め、病気を防ぐ
- 活性酵素を中和
- 腸管のエネルギーとなる
短鎖脂肪酸は健康の維持に必要不可欠なものであり、万能薬のような働きを期待できます。
この短鎖脂肪酸を作るバクテロイデス門の腸内細菌を育成することが「おデブ菌」と「さようなら」する近道となります。そして、健康で生き生きとした日を過ごすことも夢ではないのです。
「酢タマネギ」を毎日、食べよう!
さて、短鎖脂肪酸を効率的に作り出すためには何をすればいいのでしょうか?この本では一つの例として「酢タマネギ」がすすめられています。
そういえば、一時期、どの書店でも「酢タマネギの本」がズラリ―と並んでいたなぁーなんてことを思いだしました。さっそく、検索をかけると『腸内細菌が家出する日』の著者が書いたこんな本を発見しましたことよ(笑)
あ、やっぱり、と思っちゃいました。
基本の「酢タマネギ」の作り方。
【材料】タマネギ1個、塩少々、酢150~200ml、はちみつ大匙2
【作り方】
- タマネギの皮をむき、縦半分に切って芽と芯を取り除く。繊維に沿って薄く切る。
- ボウルに移し、水にさらさずに室温で30分~1時間ほどおく。その後、塩を振ってよく混ぜる。
- ビンに入れて、酢をタマネギが浸かるくらいまで注ぐ。
- ハチミツを少量のお湯で溶かし、3に加えてよく混ぜる。
- 密閉して冷蔵庫で保存。2日目から食べられ、冷蔵庫で7~10日ほど持つ。
これを毎日、少量食べるだけで違うそうです。サラダやピクルス感覚で頂けそう?そう言えば、タマネギには植物繊維はもちろん、オリゴ糖も含まれていますね。きな粉とかもせっせと食べよう!と思いました。
さてさて、酢タマネギのもっと詳しい作り方、レシピの応用が知りたい方は『有名医師も太鼓判!やせる!健康になる!酢たまねぎ 体に効くレシピ90』をどうぞ。わたしも近々、作ってみますね。お酢大好き人間なので。笑
そして、腸内細菌が喜ぶことを想像しながらゆっくりと食事をして、豊かな腸内フローラ環境を作りあげたいもの。
そして、腸内細菌が家出する日。
先ほども書きましたように、日本人の腸内細菌の数は、戦前の半分以下に減少していると言われています。また、それだけではなく、近年、腸から細菌が外に漏れだしている可能性が指摘されています。
腸内フローラの変化によって炎症が引き起こされ、ダメージを受けて弱くなった腸管粘膜上皮のバリアの隙間から腸内細菌やその成分が血液中に入り込むことで、肥満や生活習慣病発症の一因となってしまうことがわかってきました。
結果、わたし達の身体に異変が起き始めているのです。
腸管は、人の免疫細胞の70%が集まっている臓器です。腸管粘膜は植物などの異物、病原菌やウィルスの侵入、さらには腸内に潜む常在菌の刺激など、つねに感染や炎症の危険と隣り合わせにある場所でもあります。しかし、腸管粘膜は栄養素を吸収しながら、同時に病原体の侵入を防ぐ3つのバリア機能も併せ持っています。
- 腸内フローラが病原性の高い菌を輩出する環境因子バリア
- 腸上皮細胞の妻決めが協力にむすびついて頑丈な壁となり、防御の役割を果たす物理的因子バリア
- 腸粘膜細胞の分厚い粘液層をつくり、抗菌ペプチドの分泌などをする生物学的因子バリア
この3層のバリアが崩れる瞬間がある日、突然、訪れる可能性が。
偏った食事、暴飲暴食、感染や遺伝的な素因による炎症、抗生物質等の薬剤の使用・・・これらにより腸のバリア機能を失い、免疫系の制御異常を引き起こし、炎症性腸疾患、植物アレルギー、経粘膜感染症などを引き起こします。近年、増加している潰瘍性大腸炎(安倍総理がかって総理を辞任した要因ともいわれています)やクローン病、リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)なども腸管バリアの破たんが原因と考えられています。
腸内細菌が家出すると何かが起こるのか?
腸のバリア機能が低下し、腸壁に細かな穴が開くと、本来は排出されるはずの普通は体内に吸収されないものが吸収されてしまいます。体はそれらを「異物」として認識し、免疫応答システムが働き、結果として食物アレルギー、自己免疫疾患などの症状が引き起こされます。
戦前には少なかった難病がわたしたちに襲いかかるのです。
わたしたちは腸内細菌と共生する。
ちなみに身長155cm、体重45kgのわたしは多分、やせ菌です。便秘で悩んだことは人生で1度もありません。毎日、快適に2回か3回スルリンと出ます。そのためか、どう頑張っても太りません・・・新陳代謝が衰える年代に入ってきたから太るかなーと淡い期待を抱いても太りませんw
40代の今、もう少しふっくらさせるのが理想なのですが、なかなか思うようにいかず。となると、やせ菌のバクテロイデス門の腸内細菌が多いのだろうから、今回の理屈でいうと健康で元気なはず!
でも、現実にはアレルギーを抱えていますし、加齢に伴う疲れや不調、気分のムラなども大いにあります。ということは、わたしの腸内細菌も少なからず乱れているのでしょう。腸内細菌も減っているのでしょう。
とりあえず、今回、『 腸内細菌が家出する日 健康も人生も思いどおりにいかないのはナゼ? 』を読みながら、腸内細菌と共生するためには以下のことに気をつけようと思いました。
- むやみやたらとに抗生物質などのクスリを服用しない。
- 規則正しい生活と規則正しい食事を意識する。
- 極端な食事はしない。
- 多種多様な植物繊維とオリゴ糖を積極的に摂取する。
- 腸の変化に敏感になること。
とりあえず、今日から手っ取りばやくお菓子代わりにオリゴ糖と植物繊維の両者が豊富なきな粉をせっせと舐めますw 植物繊維豊富なドライイチジクをもっと積極的に食べますw
参考 腸内細菌が家出する日 健康も人生も思いどおりにいかないのはナゼ?